かつら大澤について

舞台との調和を尊び
役の人柄や生い立ちを込めて

私たちの仕事は、芸能の世界を縁の下の力持ちとなって支えること。
日本舞踊、演劇、ミュージカル、テレビ、映画・・・・
和装または洋装に関わらず、あらゆる「舞台=シーン」に携わり
観劇されるお客様に心から楽しんでいただくことが一番の喜び。

ジャンルにとらわれない柔軟な姿勢と飽くなき探究心で
かつら制作の技に磨きをかける。
常に修行の只中にある私たちが掲げる指針です。

作品の世界観から逸脱することなく
舞台となる時代の風俗を反映させ、登場人物の個性を引き立てる。
役者それぞれに合ったかつらを丹念にお作りいたします。


ごあいさつ

  • 会長
  • 大澤 金久
  • Kanehisa Osawa

かつらの制作は、かつらを作るかつらやと
髪を結い上げる床山の共同作業であり
双方の仕事が揃うことで成り立ちます。
大澤は「かつらや」と「床山」双方の職人が共に働く会社です。

入念な打ち合わせのもと
物語のイメージと役柄の本質を理解し
双方が連携しながら制作にあたります。

演じる方とのかつら合わせに始まり
くりの取り方、毛の流れなど細かいことに気を使いながら
かつらやが丁寧にかつらを作ります。
毛の植え方ひとつで、その表情は大きく変わります。
演じる方のお顔と役柄を
常に意識しながら作業を進めていきます。

そして形となったかつらを
床山が丹念に結い上げていきます。
舞台でいかに役柄にふさわしいかを冷静に捉え
時代背景や生活様式、自然な美しさについて考証し
時には櫛やかんざしで髪を飾ります。

完成したかつらが、演じる方はもちろん
大道具、小道具、衣装とともに自然に溶け込み
作品を構成する世界の一部になる。

その瞬間が、私たち「大澤」の大切な目標であり
舞台に寄り添う職人として一番の喜びです。
そのために私たちは日々努力を重ねて参ります。

1955年、父・峯松氏に床山入門(弟子入り)。
十七代目 中村勘三郎様、五代目 中村富十郎様、坂東玉三郎様、他を担当。
1980年独立、日本舞踊の床山業務を中心とした
有限会社大澤(現・株式会社大澤)を設立。
日本舞踊では三代目 花柳壽輔様、武原はん様、初代 吾妻徳穂様、他を担当。
後進の育成に携わる一方、松竹、劇団新派、創作舞踊など、幅広く手がける。
2015年(平成27年)文化庁長官表彰。

  • 代表取締役
  • 畑中 百合恵
  • Yurie Hatanaka

私は社会人になって数年は一般事務をしておりました。
何処となく満たされぬ気持ちを抱える暮らしの中で
蜷川幸雄さんの作品を好んで観劇し
お芝居に関わる世界に漠然とした憧れがありました。
当時から日本髪や芝居が好きで
髪飾りの類にも強い興味を持っておりました。

自分にできる事は何なのかと考えていたある日
偶然にも見かけた「床山」の募集をきっかけに
この業界へ飛び込んだのです。

「かつらも芝居(演技)をする」という言葉の奥深さに魅了され
早いもので数十年が経ち、今に至ります。
芝居の世界観を大切にし、役者と一体となる。
制作者の個性や感性(魂)をも
込めることの出来る仕事だと思います。
時代が求めるものは変化して行きますが
それに答えられる創造力と技術を身に付け
伝えていくことが出来たら良いと思います。

私自身、異業種からの転職組で
言わばゼロからのスタートでした。
「床山」と「かつらや」の仕事に興味を持った若い方達には
伝統芸能といった格式や概念にとらわれず
気負わずに門を叩いてみてください。

手仕事ならではの大きな満足感と
自分の中にある枯れることのない探究心に
きっと出会えるはずです。

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